MATERIAL
作中の用語や、より詳細な設定などのまとめです。
獣人について
身体的特徴
ここでの『獣人』とは、耳、角、尾、羽、牙など、身体の一部が動物のそれに変化している元人間だった生物を指す。
純粋な『ヒト』に比べ身体能力や体力、回復力が高い。
飛翔や潜水が可能なものもいるが、基本的な知能や寿命はかつての『ヒト』と変わらない。
獣人たちは、一般的に近親種の者同士で固まって集団を形成する場合が多い。
現在、その最も大きな単位が国家である。
どの国にも、獣人の外見的特徴や社会的地位の差異からくる差別が存在している。
より動物の見た目に近い者は奇形扱いされることがほとんど。
食性
『ヒト』と同じく雑食性。
加えて、『鱗の国』では「文化としての獣人同士での共食い」が存在し、軍隊員の食料として獣人の肉が提供されている。
実際に獣人の肉は栄養価が高く美味、そして腐りにくいという特徴がある。
戦闘能力
『鉄の拳』などの武装集団に所属して訓練を受けるか、各国の軍学校で訓練を受ければ、ある程度の戦闘技術を手に入れることができる。
祖先
獣人の正体は、「不老不死」「強靭な身体」「クローンの生成」「純粋な好奇心」などのさまざまな目的によって研究されていた生物たちの成れの果てである。
これはとある民間企業が行っていた実験の一部らしく、研究施設の残骸は世界各地に『遺跡』として遺っている。
当時はさらに動物寄りの姿をしたキメラも研究されていたようだが、災害後に生き残って種を存続できたのは比較的人の形に近いキメラだけである。
被験体になったのは、死刑囚や身寄りのない子供たちだった。
自分たちのルーツが元実験動物であると知っているのは一部の獣人だけである。
また、残存する当時の研究施設や資料などは『遺跡』『遺物』として各国が厳重に管理している。
交配
異なる動物の部位を持つ者同士の子供は、親のどちらかの特徴を受け継ぐことになる。
しかし、混血児の子供は短命や奇形児・障害児の可能性が高くなってしまう。
一部の研究者の間では、「そもそも『獣人』の生殖能力自体が衰退傾向にあり、近い将来我々は絶滅するのではないか」という噂も囁かれている。
文化・生活について
土地
科学者や知識人は正しく「地球」という惑星を認識しているが、一般にはそこまで詳しく浸透してはいない。
各国の都市部ではかろうじて天気予報もどきが行われているが、テレビなどの電子機器はほとんど普及していないため、新聞などが主な伝達手段。
言語
獣人たちはもともと英語で話すよう教育されていたため、基本的に英語。
文字はアルファベットが使われている。
地域によって特徴や訛りがあったりするが、他言語はほとんど消失しており、話せる者は全くいない。
『遺物』内の過去の文献には獣人に関する研究内容が多言語で記されているが、その情報は民衆の混乱を防ぐために各国の上層部によって秘匿されている。
製紙・印刷技術は復興している。
識字率は地域によってまちまち。
服装
洋服の形は災害前後でさほど変化しておらず、獣人用の下着も存在する。
羽根や尻尾を避ける形のものも作られており、繊維の製造技術もある程度は復元されている。
暦
地球の自転・公転の周期は変わっていないため、ほとんどの地域ではそのままグレゴリウス暦が使用されている。
年号は西暦ではなく、災害から何年経ったかを表す『ディアナ暦』というものが使われている。
現在はディアナ暦218年。
産業
『霧雨の国』の一部の都市ではある程度の技術が復刻されており、電気系統の整備も進んでいる。
ほとんどの国では、一応の配達網も整備されている。
主な長距離移動手段は馬車や蒸気船。
畜産業も行われており、これについて獣人たちはほとんどが「自分たちと動物は別の生物だ」と考えている。
奴隷制度
『真珠の国』では奴隷産業が成り立っており、他国への輸出も行われている。
真珠の装飾品をしている奴隷は『真珠の国』産の最高級の『商品』である証拠で、高値で取引されている。
貨幣制度
どこの国も紙幣制度は普及しておらず、金塊を使った取引や物々交換が一般的。
外交
国が三つにまとまる以前は、集団同士で食料を巡って争いが頻発していた。
現在は各国が同盟を結んで統制をとろうとしているが、『遺跡』や『遺物』を手に入れるための争いが続いている地域もある。
治安
各国の軍隊が治安維持の役割を担っている。
使われている武器は、銃火器やナイフなどの刃物が主。
一般人でも武器の入手は容易。
婚姻制度
結婚制度は、一応は法で定められている国がほとんどで、子孫を残すために多重婚がみとめられていることが多い。
獣人の生殖機能は『ヒト』と変わらない。
親同士が異なる動物の特徴を持つ場合、生まれてくる子供はどちらかの親の特徴を継ぐことがわかっている。
医療制度
施設や道具が不足しているため、過去の文献から知識は得られても実際の治療が困難な場合が多い。
治療の対価は基本的にお金や物々交換だが、どの国も保険制度が十分に整えられていないため割高である。
『ヒト』や哺乳類よりも遠い動物の特徴を持つ者が罹患しやすい病気として、人間部と動物部の結合がうまくいかないという『分離症候群』というものがある。
体の一部が膿んだり、激しく痛んだりする症状が特徴。
教育
『鱗の国』だけでなく、『霧雨の国』や『真珠の国』にも国民が通える軍学校が存在している。
学費もしくは一定期間以上の兵役と引き換えに初等教育を受けることが可能。
大災害について
大災害
『ディアナの洪水』と呼ばれる大災害。
原因や詳細は不明だが、大規模な地殻変動と突然変異の伝染病が発生したことがわかっている。
この際、伝染病がきっかけで『ヒト』は絶滅し、災害によって破壊された研究施設から獣人たちが逃げ出している。
ちなみにこの世界は、災害が発生してから218年経っている。
災害から二百年弱しか経っていないにも関わらず、災害前の建築物や物品はそのほとんどが激しく損傷している。
原因は不明。
遺跡・遺物
過去の建築物は『遺跡』、そこに残っている資料などは『遺物』と呼ばれている。
過去の技術や情報は大きな利益になるため、各国が自国の発展のためにこぞって入手しようと競っている。
薬酒について
月兎の涙
『九つの尾』の幹部の一人であり研究者でもあるグレゴリオが、「獣人のキメラの部分をさらに活性化させる」という研究のために作った薬酒。
淡い蒼色で、微かに発光している。
接種した獣人は、自我を失くして凶暴化する代わりに、短時間で牙や爪が肥大化し身体能力が向上する。
摂取量を増やせば体細胞が変化する速度が上がり、さらに動物に近い姿へと変貌する。
他国の捕虜を軍事利用するため、『霧雨の国』で秘密裏に開発が進められている。
遺跡・遺物
『角の教会』が傷の治癒と延命、幸福を謳って信者に飲ませている深紅の薬酒。
その中身は薬物。
中毒性が高く正常な思考力を奪うため、信者への洗脳手段として使用されている。
実際に治癒や延命の効果はあるが、使い続けると耐性がついてしまう。
詳しい成分は公にされていない。
鴆(ちん)の羽毒
『鉄の拳』が使用している猛毒。
少量でも接種してしまうと死に至るほど強力であると噂されているが、その真偽は定かではない。
研究機関について
Re-V-Earth
研究機関リヴァース、通称リヴ(ReVE)。
表向きは戦後に設立された民間の多国籍企業で、医薬品や食料品の製造を中心に多様な事業に取り組んでいる大企業でもあった。
しかしその水面下では、軍事利用を目的とした武装や生体兵器・薬物の開発、ひいては目的不明の研究が行われていた。
実際の設立時期や創設者は明らかにされていない。
『獣人』が誕生したのも、『ディアナの洪水』と呼ばれる大災害が発生したのも、全てはこの機関が原因である。
現在、『遺跡』や『遺物』には『ReVE』のロゴマークが多く残されている。
獣人の不死性
過去に『Re-V-Earth』の行っていた研究において、唯一不老不死の肉体を手に入れていた個体がクリスである。
彼は20歳を過ぎてから見た目が全く変わっていない。彼の娘であるニコラにもその性質が遺伝している。
ヤモリなど元々高い再生力を有する動物の獣人であれば多少の回復力が備わっていることが多いが、クリス・ニコラの再生能力はそれらと比べ物にならない。
肉体がいかに損傷しようと、数時間経てば塵から肉塊へ、肉塊から元の身体へと再生してしまう。
傷つけさえしなければ物理的な拘束をすることは可能。
一応、痛覚は存在しているらしい。
彼らの身体にはトナカイだけではなくとある『不死の怪物』の部位が混ぜ合わされており、それが不死性の原因になっている。
そもそも獣人の研究は、その不老不死の力に耐え得る身体を持つ生命体の開発が目的で行われていた。
獣人の毒性
ソフィ含む一部のモズ……もとい、ピトフーイという毒を持つ鳥の獣人は、体液に非常に強力な毒性を持つ。
空気に触れると毒性は弱まるものの、他の獣人が直接体内に取り込んでしまった場合、少量でも即死する危険性がある。
性行為はおろかキスでも毒を移してしまう恐れがあるため、彼らは同種族の獣人としか子孫を残すことができない。
毒性の由来は、かつて不死性を持つキメラを恐れた『Re-V-Earth』の研究員が、その不死性を破壊する要素を開発し、別のキメラに組み込んだことによる。
この毒は、唯一クリス・ニコラの再生能力を打ち消すことができる。
ソフィは自らの体液の性質を利用し、これを塗り付けた刀を武器として用いている。
また、アンディは特殊な体質のソフィに不用意に触る者がいないよう、常に側で見張っている。